火神まゆ 前世からの気づき

私のいくつかの前世の中では、やはり人生初のヒプノセラピーが一番印象深いです。

その時のことをご紹介したいと思います。

 

 

 

前世へのドアを開けた先は森でした。

どこからともなく聖歌がかすかに聴こえてきます。

セラピストさんに促されて自分を見つめると、茶色でバンドのある革靴・ブロンドの巻き毛・ブルーストライプ模様のエプロンドレスを着た15歳くらいの少女キャッシーでした。

何も持たずたちつくしている、そんな淋しげな印象です。

森を抜けた先の左手前方にはお城のような造りの建物がありました。

きちんとしている服装のキャッシーは、家柄的には恵まれていたようです。

セラピストさんから「アメリカですか?」といわれましたが、建物はには中世のイメージがありましたのでアメリカとは少し違っているような気はしました。

 

 

セラピストさんに促されて背中からキャッシーに入り込み彼女を通して見ていきます。

「周りに誰かいますか?」と質問されたものの、周囲にはリス一匹おらず、もちろん人の気配すらありません。その時はまだ「あれ?そういえば誰もいないな…」と感情もなく淡々と思いながら見回していました。

 

 

それからしばらくして私は、まるで胃をつかまれたようなそんな感覚とともに猛烈な悲しみに襲われました。

涙が溢れ、次々と出る涙が止まらなくなりました。

言いようもない孤独感、淋しさ、辛さ、そんな想いが私を占領していたのです。

 

 

一番幸せな場面は、家の2階の陽だまりに座り積み木で遊んでいる3歳くらいの時の場面でした。

前方に下に降る階段が見えており、その向こう側に見えるドアの横に立つ父が私を眺めていました。

長身で細身のイギリス人のような父は、私を見つめていますが言葉はありません。

黒いベストに黒いスラックスに磨かれた靴というスタイルで、とにかくとても忙しい人なのだと感じました。

「それが一番幸せな時なのですか?」そう聞いたセラピストさんに「幼く理解力がないだけに、幸せと感じられていたかもしれません」と答えました。

 

 

今の自分に一番影響を与えている場面に移ると、先程の階段の手前で母が父に対して矢のように怒鳴り続けていました。

それを受ける父は困惑した顔で、ただただ黙って母を見ているのです。

そして母は出ていったと感じました。

私は幼い頃、母親の愛情を失ったようです。

母というものを感じたのはその時だけで、後はまったく出てきませんでした。

 

 

死の場面ではきれいに片づけられた部屋の大きなベッドに横たわっていました。

眼鏡をかけている私は痛みや辛さもなく穏やかで、老衰のようです。

そして、その部屋では人がぎっしりとベッドの周囲を取り囲み私を見つめています。

大きな背丈から小さい子供までたくさん、きっと亡くなるまでの間にたくさんの家族ができたのでしょう。

私は教師をしていたようで、死を迎えるその時も「教師をずっと続けていたかった」と思いながら、これまでの教え子の顔を思い出していました。

 

 

そして感じたもの…

私が横になるベッドの左、一番近いところに黒いベストとスラックスの男性が立っているのです。

天国から私をお迎えにきてくれた父なのか?それとも父によく似ている我が息子なのか?

それはわかりませんでした。

その後、夜の星空の中を飛んでいる私がいました。

 

 

セッション終了後、今回の前世からの気づきについてセラピストさんと会話をしました。

今生の私は大家族で育っていますので、淋しい思いをしたことがまったくありません。

反面、セッションを受けた時は家族が多い分さまざまな問題や衝突も続いており辟易している時だったのです。

「1人になれば楽なのに…」「核家族であればこうも問題は起こらないのに…」そう思う毎日でした。

ですがこのキャッシーの時の前世では、これほどの孤独感を味わっていたのです。

それでも人生の最期には多くの家族に看取られ、幸福な終わり方をしたのです。

そこから学んだものは『人が集まる』ことは幸せなのであるということでした。

それから『人はいつまでも淋しいわけではない、満たされる時も来る』というメッセージでした。

それは、努力すれば叶う!希望を捨ててはいけないのだということにも置き換えられると考えました。

孤独なキャッシーも、部屋いっぱいの家族を増やすことが出来たのですから!

 

 

帰宅の電車でそのストーリーを思い出している時に突然ひらめいたのです。

その場所は<カナダのビクトリア>であると。

若い頃からビクトリアという町やビクトリア調の建造物に惹かれ、行きたいと何故か思い続けていたのですが未だ叶っていなかったことを思い出しました。

忙しさの中でそんな願いを持っていたことすら忘れていたことにも気がつきました。

「いつか訪ねてみたい!」

ビクトリアに私は今思いを馳せています。